勉強は上手くなる② やればできる(1)「グロースマインド」

成長する思考“グロースマインド”

人の人生は、その人の心のあり方、つまりどのような心構えや考え方のクセ、思い込みを持っているかによって決まります。
この心のあり方、考え方のクセのことをマインドセットと言います。
これは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が発展させた考えで、
「自分の成長は経験や努力によって、向上できる」という考え方を“グロースマインドセット”(成長マインドセット)と言い、
逆に「努力しても何も変わらない」という考え方を“フィックストマインドセット”(固定マインドセット)と言います。
心のあり方は、本人の意識次第でいくらでも変えることができます。
つまり、誰でも「成長マインドセット」の持ち主になれるということです。
ようするに、知能は生まれつき固定されたものではなく、後天性のものであり、努力を重ねることによって変えることができるものなのです。

学習無力感の話…

学習性無力感とは、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンが1967年に提唱した理論です。
セリグマンは、下記のような実験を行いました。
電気ショックの流れる部屋に2匹の犬を入れます。
Aの犬はスイッチを押すと電流が止まる装置のついた部屋。Bの犬は何をしても電流が止まらない部屋です。
この結果、Aの犬はスイッチを押すと電流が止まるということを学習し、スイッチを積極的に押すようになった一方、
Bの犬は何をやっても電流が止まらないこと知り、最終的に何の抵抗もしないようになってしまいました。
それだけでなく、2匹の犬をしきりを飛び越えるだけで電流から逃れられる部屋に移したところ、
Aの犬は早々に仕切りを飛び越えたのに対して、Bの犬は何の行動も起こしませんでした。
このように、自分が何をやっても結果が変わらないと学習することで、どんな状況に対しても行動を起こさなくなってしまうことを
「学習性無力感」と言います。

才能の違いなどではなく、自己効力感(*)を持てたかどうか、ただそれだけの違いなのです。
学習性無力感の理論は、人間にも当てはまることが実証されています。
「自分が動けば何かが変わる」と思いながら日々、行動する人と、
「自分が何をしても何も変わらない」と思いながら日々行動する人とでは、差がつくのは当然です。

*自己効力感(セルフ・エフィカシー【self-efficacy】)とは、人が何らかの課題に直面した際、
こうすればうまくいくはずだという期待(結果期待)に対して、自分はそれが実行できるという期待(効力期待)や自信のこと。

次回に続く
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